国際男性デーに、フェミニズムについておもう

11月19日は「世界国際男性デー」

主催者団体のホームページに掲げられている「国際男性デー6つの支柱」からは、

現代社会で男性が感じている生きづらさ、苦しさが垣間見られるようです。

 

1. 肯定的な規範的男性像を促進すること

2. 家庭や育児など、社会への男性の積極的参与を是認すること

3. 男性の健康と幸福に焦点を当てること

4. 男性に対する社会的、法的差別に光を当てること

5. ジェンダー関係を改善し男女平等を促進すること

6. 安全で、誰もが目一杯可能性を実現できるような、より良い社会を作っていくこと

 

(一部簡略化しています。)

 

そこからは、男性に押し付けられる「男らしさ」という社会的規範が、

家族と時間を過ごすこと、自らの身体的・精神的健康をいたわること、

自分らしくのびのびと生きることを、難しくしている現実が見て取れるようです。

 

 

一方で国際男性デー当日には、ツイッターやインターネット上に、

たくさんの「女性の権利」に対する攻撃が書き込まれました。

 

「レディースデー」など、女性が受けていると思われる「特権」への攻撃

いわゆる「ハニートラップ」や「痴漢冤罪被害」の恐怖、

社会に横行しているという様々な「女尊男卑」への抗議...

 

これらの訴えに共通するのは、

社会が女性差別にばかり目を向けて、女性を偏重してきた、という不満であり、

「男女平等」という理念が男性を不当に抑圧し、不自由にしてきた、という感覚です。

 

果たしてそれは本当でしょうか。

 

 

社会学者のマイケル・キンメルは、2015年のTEDプレゼンテーションにおいて、

以下のような研究結果を報告しています。

 

一般に、ジェンダーギャップが少ない国において、国民の幸福度は高く

ジェンダーギャップの少ない企業において、被雇用者の満足度は高く離職率が低い。

 

さらに、男性が家事や育児に参画している家庭では、

夫も妻も結婚生活への満足度が高く、共により健康であること、

子供がより健康で、よりよい成績をおさめる傾向にあること、などが明らかにされています。

 

このように、男女差別の是正は、男性と女性のゼロサムゲームではありません。

男性が健康で幸せであるためにも、男女平等は欠かせないのです。

 

ところで、インターネットに書き込まれていた最も多くの男性の不満は、

「僕たちは全員、セクハラをするわけじゃない」

「全員が痴漢をするわけじゃない。性犯罪に手を染めるわけじゃない」

こうした訴えでした。

 

その通りです。

男性だから、という理由でセクシスト扱いされるのは不当です。

 

一方で、ある統計によると、日本では約7割の女性が性的被害にあっています。

性犯罪やDV、ストーカー被害者の約9割が女性です。

 

こうしたなか、女性を黙らせても、性被害はなくなりません。

それはすなわち、男性への「偏見」もなくならないことを意味します。

男性への不信を根絶し、「肯定的な規範的男性像を促進」するためにも、

いま確かに存在する男女差別を是正するために、男性の協力が不可欠なのです。

 

男性が、男性であることを理由に苦しむことのないように、

ジェンダー関係が改善され、男女平等が促進されることを切に願います。